三大栄養素のバランスと摂取基準、BMI指数で身体の状態を確認する方法

三大栄養素のバランスと摂取基準、BMI指数で身体の状態を確認する方法

三大栄養素

三大栄養素とは、蛋白質、脂質、炭水化物で人体の主要なエネルギー源となります。
これに微量のビタミンとミネラルを加えて五大栄養素と呼ばれ、健康を維持するために必要な栄養素が構成されます。
食事は空腹を満たすことが目的ではなく、健康を維持するために必要な栄養素を補給することが目的です。
一般的には、20歳代までは食べたい物を食べたいだけ食べていても、基礎代謝が高いために余った栄養分も消費されて肥満になりにくい体質を保っています。
しかし、30歳を超え、さらに年齢を重ねてくると基礎代謝が段々と下がってくるため、余った栄養分が消費されず脂肪として体内に蓄積されていきます。
これを放置していると脂肪は増え続け肥満体質となり、生活習慣病の要因となってしまいます。
カロリーの摂りすぎが原因になりますから、対策としては日常の運動量を増やしたり、適切なカロリーを摂取することで改善することが必要になります。
摂取するカロリーが制限されてくると食べたいものを食べているだけでは、栄養素が偏って不足する栄養素が出てしまいます。
健康を維持したければカロリー制限だけでは不十分で、限られたカロリー総量の範囲内で必要な栄養素を必要な量だけ摂取する必要が出てきます。
スポーツ選手が当たり前のように実践している栄養管理を、我々も実践する必要があるということになります。
それでは三大栄養素をどれだけ摂取すれば、健康を維持していけるがご存じでしょうか?
適切な栄養素の摂取量を知り、それを自分自身の食生活に取り入れることは、健康を維持するための有効な手段となります。

1.自分の標準体重を知る。

健康と体重には相関関係があることは統計からも明らかにされていますので、まず自分の標準体重を知る必要があります。
BMI:Body Mass Index(ボディーマス指数)を使って標準体重を算出します。
以下の算術式で3種類のBMI(①18.5、②25、③22)をそれぞれ算出して標準体重(①②③)を算出します。
標準体重(①②③)= 身長(m) x 2 x BMI(①②③)
①は標準体重(下限)、②は標準体重(上限)、③は標準体重の理想値(統計上の数値)
実際の体重が①~②の範囲であれば標準体重ということになります。

例えば身長(170cm)の人の標準体重を算出する場合
①1.70(m) x 1.70(m) x 18.5(BMI) = 53.5(kg)
②1.70(m) x 1.70(m) x 25.0(BMI) = 72.3(kg)
③1.70(m) x 1.70(m) x 22.0(BMI) = 63.58(kg)
標準体重は53.5kg~72.3kgになります。
上記③のBMI=22で算出した体重は統計上から最も病気にかかるリスクが少ないとされる体重です。
以降「標準体重」と記載された場合は、BMI=22で算出した体重をさしていると認識してください。
栄養の適正量を把握する場合、この標準体重に基づいて算出することが適切と思います。

BMIによる肥満度のチェック

世界保健機構(WHO)の基準
肥満度ランク:BMI
痩せすぎ  :~16.0
痩せ    :16.0~16.9
痩せぎみ  :17.0~18.4
正常    :18.5~24.9
肥満ぎみ  :25.0~29.9
肥満度1  :30.0~34.9
肥満度2  :35.0~39.9
肥満度3  :40.0~

実際の体重からBMIを算出して上の表の肥満度を確かめてみましょう。
BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)2
大多数の人は「痩せ気味、正常、肥満ぎみ」のいずれかだと思いますが、もし正常範囲でなければ、少しづつでも正常範囲に近づけることを意識すべきでしょう。

BMIの限界
BMIは肥満度を知るための簡易的な指標として普及していますが、万能というわけではありません。
筋肉量や脂肪量を考慮していませんので、筋肉量が多くても体重が重ければ肥満と判断され、脂肪過多でも筋肉量が少なければ正常と判断される場合もあり、BMIの簡易性の限界と言われています。
しかし、熱心に筋トレを実施しているスポーツ選手などの一部の人を除けば、BMIの肥満度と体脂肪率には大多数の人で相関性が認められているため、有効な指標として利用されています。

2.基礎代謝量を知る。

基礎代謝量とは生命を維持するために最低必要な1日のエネルギー量で、安静状態においても消費されるエネルギー量です。
基礎代謝量(kcal/日)は、標準体重(kg) x 基礎代謝基準値(kcal)によって算出されます。
基礎代謝基準値は、年齢層、性別毎に設定された体重1kg当たりのエネルギー量(kcal)を表しています。

基礎代謝基準値
年齢   男子 女子
01~02 : 61.0 59.7
03~05 : 54.8 52.2
06~07 : 44.3 41.9
08~09 : 40.8 38.3
10~11 : 37.4 34.8
12~14 : 31.0 29.6
15~17 : 27.0 25.3
18~29 : 24.0 22.1
30~49 : 22.3 21.7
50~69 : 21.5 20.7
70~ : 21.520.7

例えば、標準体重:60kg、30歳の男子(基礎代謝基準値:22.3)の基礎代謝量を算出する場合
基礎代謝量(kcal/日) = 60(kg) x 22.3(cal/kg) = 1338(kcal/日)
基礎代謝量(kcal/日)の算出結果は、1338(kcal/日)となります。
基礎代謝量には個人差がありますので、一般的な目安としてご理解願います。
日常スポーツを行う機会が多い、筋肉量が多い、体温が高い、などの人は基礎代謝量が高くなる傾向があります。

3.総エネルギー量を知る。

総エネルギー量は、1日の食事から摂取する必要量で基礎代謝量から算出できます。
総エネルギー量は、基礎代謝に約70%、身体活動等に約30%が消費されます。
総エネルギー量(kcal/日) = 基礎代謝量(kcal/日) x 10 ÷ 7

例えば、基礎代謝量:1338(kcal/日)の人の総エネルギー量(kcal/日)を算出する場合
総エネルギー量(kcal/日) = 1338(kcal/日) x 10 ÷ 7 = 1911(kcal/日)
総エネルギー量の算出結果は、1911(kcal/日)となります。

他にも生活活動強度指数を使った総エネルギー量の算出方法もあります。
総カロリー数(kcal/日)=体重(kg) x 生活活動強度指数

生活活動強度指数
・軽労働(デスクワーク)  :25~30(kcal)
・中労働(製造・販売業)  :30~35(kcal)
・重労働(建設・農業・魚業):35~40(kcal)
例.標準体重:60(kg)、生活活動強度指数:35(kcal)の人の総カロリーを算出
総カロリー数(kcal/日)= 60(kg) x 32.5(kcal) = 1950(kcal)

いずれの算出方法も体重に係数を乗じて算出していますが、基礎代謝基準値と生活強度指数で指数の違いがあるため差異が発生します。
高齢者で生活強度指数が高いなどの場合は、差異が拡大することになりますので両者の平均値を利用するなどでも良いかと思います。

4.栄養素の必要量を把握

総エネルギー量をもとにして、3大栄養素(蛋白質、脂肪、炭水化物)の必要量を把握します。
蛋白質、脂肪、炭水化物の割合は、以下の範囲の割合で合計が100%になるように配分します。
蛋白質 :総エネルギー量の10%~20%を摂取する。
脂肪  :総エネルギー量の20%~30%を摂取する。
炭水化物:総エネルギー量の50%~60%を摂取する。

まずエネルギー量100kcal当たりの各栄養素の摂取量(kcal)を算出します。
蛋白質は、100kcalの10~20%ですから、10~20kcalとなります。
脂質は、100kcalの20~30%ですから、20~30kcalとなります。
炭水化物は、100kcalの50~60%ですから、50~60kcalとなります。

次に摂取量(kcal)を重量(g)に変換します。
蛋白質は、1gで4kcalですから、10~20kcalでは2.5~5gとなります。
脂質は、1gで9kcalですから、20~30kcalでは2.2~3.3gとなります。
炭水化物は、1gで4kcalですから、50~60kcalでは12.5~15gとなります。

1日の総エネルギー量を2000kcalとして、栄養素毎の重量を算出します。
蛋白質の1日の摂取重量は、100kcal当たり2.5g~5gですから2000kcalでは20倍の50g~100gとなります。
脂質の1日の摂取重量は、100kcal当たり2.2g~3.3gですから2000kcalでは20倍の44g~66gとなります。
炭水化物の1日の摂取重量は、100kcal当たり12.5g~15gですから2000kcalでは20倍の250g~300gとなります。

栄養素の配分例
蛋白質:20%、脂質:30%、炭水化物:50%に配分すると営巣素毎の摂取重量は以下のようになります。
蛋白質:100g、脂質:66g、炭水化物:250g

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