IT情報革命を超える第5世代移動通信システムと先進技術の未来展望

  • 2022.10.04
  • Biz
IT情報革命を超える第5世代移動通信システムと先進技術の未来展望

第5世代移動通信システムは5G(5th Generation)と呼ばれる2020年からサービスが提供される次世代通信システムのことで、現在利用されている4Gと比較すると飛躍的に通信環境が向上されます。
高速大容量、同時接続数の増大、低遅延化の3つの課題に対応することで、今まで出来なかったことが可能になるため、様々な分野での利用が期待されています。
90年代にはインターネットの普及によって仕事や生活など社会環境が激変して、情報革命と呼ばれるようになりました。
2020年からサービスが開始される5Gは、90年代の情報革命とは比較にならないほど広範囲の分野へ劇的な変革をもたらすことが予想されます。
米国、韓国では2019年からサービスが開始されていますが、まだ始まったばかりで通信環境や利用技術は、これから本格的に整備されていきます。
日本では2020年の東京オリンピックで5Gが利用され、会場周辺の監視や競技の観戦に利用される予定です。
5Gの普及は人々の生活を便利にする半面、人の仕事が機械に置き換わることにも繋がっていきます。
世界の人口が増加していく過程で、人々の仕事が減少していくことになりますから、世界中に余剰の人々が溢れかえることも予想されています。
5Gがもたらす未来の環境変化に乗り遅れることなく対応できるよう、今から準備していくことが必要になってきます。

■移動通信システムの推移

移動通信システムの規格は1Gに始まり4Gまで進歩を遂げてきました。
各世代別の特徴をまとめると、以下のようになります。

●1G(第1世代)アナログ携帯電話

1980年代~1990年代にはアナログ無線技術が商用化されアナログ式携帯電話(自動車電話)が初めて利用されるようになります。
音声通話のみのサービスで通信速度は10Kbps、利用者も限定され普及したとは言えませんでした。

●2G(第2世代)デジタル化と電子メール

1999年には無線技術のデジタル化によってNTTドコモがIモードを開始、インターネットメールの利用が可能となりました。
デジタル化により通信速度が100Kbpsとなり、インターネットやメールが利用出来る環境が整い、第1次普及期を迎えました。
2.5G(第2.5世代)通信速度の高速化
CDMA(Code Division Multiple Access)を用いたcdmaOneの商用化によって通信速度の高速化が実現されます。

●3G(第3世代)通信規格の世界標準化

国際連合の専門機関ITU(国際電気通信連合)による標準化によって世界標準の携帯電話が開発され、1台の携帯電話を世界中で利用可能となります。
2000年のサービス開始、周波数2000MHz、最大速度2000kbpsをターゲットとしたところからIMT-2000(International Mobile Telecommunication 2000)」と命名される。
インターネットに接続して株取引が可能となり第2次普及期を迎えます。
3.5G(第3.5世代)通信速度の高速化
2000年代には3Gのターゲットとされた2Mbps(2000kbps)から更なる高速化技術によって20Mbps~30Mbpsへと高速化が進む。
3.9G(第3.9世代)LTEによる高速化
4G向けの新技術を先取りした高速化技術LTE(Long Term Evolution)によりさらなる高速化が進む。

●4G(第4世代)スマホ対応の高速化

IMT-2000の後継国際標準をIMT-Advancedと命名、50Mbps~1Gbpsの超高速通信、固定電話網と移動体電話網のシームレス利用をターゲットとした。
スマートフォンに対応したモバイルネットワーク技術の開発により、大容量の動画視聴が可能となり第3次普及期を迎える。

■5G(第5世代)移動通信システム

5Gでは高速大容量、多数同時接続、低遅延に対応した通信規格が定められている。
米国と韓国では2019年に一部の5Gサービスが利用開始となり、他の国では2020年に利用開始となる。
日本では2020年の東京オリンピックでの利用に向けて準備を進めています。
4Gまでは電話機をターゲットとしてユーザニーズに対応するかたちで進歩してきましたが、5GではIOTやAIといった技術とインターネットを通して連携し家電、自動車、ロボット、カメラ、医療機器などに搭載した電子機器との通信が視野に入ってきます。

●高速大容量

5Gの目指すスピードは下り20GHz、上り10GHzである。
2020年代にはウェアラブル端末、IOTなどインターネットに接続される端末機器の種類が多様化し、ネット上のトラフィックも急激に増加していくことが予想される。
増大するトラフィックに対応するためには高速大容量の通信環境が必須要件となり、5Gでは従来より高い周波数帯を利用して情報量の増大に対応する。
高い周波数帯を使用することでより多くの情報量を送信することが可能となるが、電波の直進性が高まり通信可能範囲が狭くなるデメリットもある。
そのため、基地局を多数設置して広範囲のエリアをカバーする必要がでてくる。

●多数同時接続

これまでインターネットに接続される機器はPCやスマートフォンに限定されていたが、IOTの利用が進んでくると多くの機器との接続が必要となる。

●低遅延

通信方式の改良によって低遅延の無線区間通信を実現する。
基地局、端末に近い場所にサーバーを設置することで通信量を減少させるモバイルエッジコンピューティングの技術などを導入する。

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